北海道はエアコンがいらない、は本当?最近は暑くてムリ!?

北海道 エアコン いらない

来る日も来る日も太陽がカンカン照りの灼熱の毎日に、心も体もオーバーヒート気味な日本の夏。

どこでも良いから涼しい所に移住出来たら、とあれこれ想像してみると、真っ先に思い浮かぶのが日本最北の北海道です。

2019年の都道府県魅力度ランキングでも堂々の1位に輝いた北海道は、居住意欲度でも3位に入り移住先として高い注目を集めている魅力的な場所。

冬はマイナスの気温に冷え込む有数の豪雪地帯なので、短くても夏は涼しく爽快で過ごしやすい気候が期待できるはず、です。

その証拠に北海道の都市伝説として、冷涼なため自宅にエアコンがないのが基本という説があります。

確かに総務省統計局が5年毎に行う全国家計構造調査(旧:全国消費実態調査)の2014年の結果によれば、エアコンの普及率は全国平均86.4%に対し、北海道では25.7%という驚くべき低水準となっています。

厳しい暑さを乗り越えてきた、本州からの移住者の率直な声として、北海道は夏でも蒸し暑さが低くてカラッとしているので、扇風機があれば耐えられるレベルいう意見も聞かれます。

しかし記憶に新しい2019年の5月には北海道全域が猛暑に襲われ、観測史上初となる39度越えの最高気温を記録した町も出現しました。

さらに同年7月末には札幌で1961年以来となる、3夜連続の熱帯夜(夜間でも25度以上)となり、クーラーなしでは寝苦しい状況に。

続く8月にも札幌で30度を越える真夏日が8日間続き、1985年の記録を更新する事態を経験したのです。

北海道の住居は厳冬に備えた仕様で気密性が高く、夏は気温が上がれば室内に熱気がこもり一気に不快度が高まります。

北海道育ちの道産子なら、年々記録を更新するような夏の酷暑ぶりを実感し、エアコンなしではもう耐えられないという境地になっているかもしれません。

2019年実施の全国家計構造調査の結果はまだ出ていませんが、北海道のエアコン普及率も過去最高に増えていることでしょう。

北海道が暑いのはなぜ?日本で一番暑い場所になることも!?

北海道 暑い なぜ

夏の涼を求めての北海道移住計画だったはずなのに、2019年に北海道内でも39度越えの気温を叩き出したと知り、驚きが隠せません。

でっかいどう北海道と形容されるほど、広大な面積を誇るため夏の気候も地域によって大きな違いがあるようです。

2019年5月26日に観測され5月の全国最高気温となった39.5度は、オホーツク海に面したサロマ湖でも有名な佐呂間町で記録されました。

これは今日まで北海道で観測された史上最高の気温となっています。

また同日、道東十勝地方内陸部にある帯広でも、38.8度をマークしています。

帯広はエアコン普及率が48.8%と道内でも突出していて、夏の暑さが慣例化している様子です。

北海道の夏がこれほどまでに暑い理由は、フェーン現象に起因しています。

フェーン現象は、気流が山の斜面に沿って上昇し、反対側へ吹き抜ける際に、標高の高さから気温が下がって水分が抜け、乾いた暖かい空気となって吹き下ろし、地表の気温を上昇させます。

佐呂間町の西側には北見山地が、帯広の西側には日高山脈と、それぞれ南北に連なる山々があり、地形と風向きや上空の暖気などの気象条件と相まって、フェーン現象を起こし、急激な高気温をもたらすことがあるわけです。

他にも北海道には周囲を山々に囲まれ、空気が停滞して暑さを溜め込みやすい盆地も多くあります。

ラベンダー畑で有名な富良野は、観光客には避暑地としてのイメージが強いですが、実はれっきとした富良野盆地に位置し、道民からすると夏の暑さが際立つ場所として知られます。

都会化が進み、アスファルトや高層ビルに囲まれた札幌では、ヒートアイランド現象による温暖化も問題となっています。

意外と暑い北海道は、地域によって夏の気候の違いが大きく、避暑目的なら目的地選びは慎重にしたいものです。

日本一涼しい街は釧路?7,8月の平均最高気温は21~22度!?

日本一涼しい街 釧路

スケールの大きな北海道は、寒暖の差も実に激しいのが特色。

全国最高気温を出す程の暑さになる町がある一方で、日本一涼しい街も存在します。

太平洋沿いの道東地方で人口が最も多い釧路市。

17万人が暮らし、北海道でも4番目に大きい都市です。

マリモの育つ阿寒湖や、タンチョウヅルが飛来する日本最大の釧路湿原が有名で、多くの観光客が訪れますが、日本一涼しい街としても知られます。

気象庁のデータによると2010~2019年の7~9月の平均最高気温は21.3度。

東京や大阪よりも10度前後も低く、釧路市では“涼しすぎて街全体が天然クーラー”とのキャッチコピーで、涼しさを全面的にアピールしています。

夏季でも最高気温が25度を越える夏日は年間5.5日のみ、30度越えの真夏日は10年に1度の頻度という快適な環境です。

言うまでもなく釧路のエアコン普及率は、たったの5.3%で道内最下位を誇ります。

釧路が涼しい理由は、沿岸部に近い地域では太平洋の寒流の影響を受けるためです。

北海道の北にある千島列島から南下する親潮、すなわち千島海流が、夏場の湿気が多い温暖な空気を冷やし海霧を発生させ、気温の上昇を防いでいます。

霧で日差しが遮られるせいか、釧路の夏は快晴及びほぼ晴れの日の割合が35%前後しかなく、7~8月は年間でも晴れの日が最も少ない時期というのも特徴的です。

夏の札幌の平均気温と比べて、5度前後も低い釧路は、正真正銘の避暑地と言えます。

札幌からはJRの特急利用で約4時間の距離ですが、釧路空港へは東京から約1時間30分足らずというアクセスも悪くはありません。

北海道の“ちょっと暮らし”の体験移住先としても、2018年まで8年連続道内ナンバーワンの人気に輝き、避暑生活を始めとする長期滞在者が多い街です。

しかし、近年は日本で一番涼しい街である釧路にも温暖化の波が押し寄せていて、年間平均気温も2015年には過去最高の7.7度となり、上昇の一途をたどります。

2016年8月の21.3度や2017年7月の18.2度は、各月の平均気温としてはいずれも過去最高で、釧路でも年によっては少々暑めの夏になることもありそうです。

とは言え、エアコン不要でも断然涼しい釧路は、避暑ベストスポットに間違いありません。

まとめ

爽やかな気候が魅力あふれる北海道の夏。

猛暑を避けて快適に過ごせる道内の滞在先を選びたいものです。

北海道ではエアコン普及率が25.7%という驚くべき低い数値で、猛暑と無縁ぶりが伺えますが、2019年には5月の時点で39度越えという、全国最高気温が北海道で観測される事態になりました。

札幌でも以前はなかった熱帯夜が連日続くなど、北海道民でも夏の暑さに直面しつつあります。

北海道で日本一の暑さが記録されたのは、地形と気流に起因するフェーン現象によるもので、突発的な気温の上昇が起こりやすいエリアもあります。

一方で街全体が天然クーラーという釧路は、寒流による海霧の影響で夏の平均最高気温が21.3度と、避暑には最適な環境です。

北海道は、夏の気候も地域により様々に異なるほど広大で、目的に合わせた滞在先選びがおすすめです。