BNPLとは?決済サービス・支払い方法の新時代!がよくわかる?!

目次

1. BNPLの概要

BNPL(Buy Now Pay Later)は近年、多くの小売業者と消費者によって広く採用されている金融サービスです。

BNPLは、消費者にとって非常に便利な決済方法ですが、注意すべき落とし穴もあります。

BNPLは、世界的な支払い市場において2024年までに10兆ドルと推定されており、現在BNPLは2%未満の浸透率です。

1-1. BNPLの定義

BNPL(Buy Now Pay Later)とは、商品の購入時における代金の支払を不要とし、後から当該代金の支払をすることを可能とする決済サービス(後払い決済サービス)を総称した概念です。

BNPLは、POS(point of sale)の資金調達の形態であり、購入者がショッピング体験の前に貸し手やクレジットカードプロバイダーからクレジットを確保する必要がなく、販売時点で直接クレジットが発行されます。

BNPLの歴史的背景:急速な成長の理由
BNPLは新しいコンセプトではありませんが、デジタル決済の進化と共に急速に普及しています。特に、e-commerceが拡大するにつれて、消費者は短期間で多額の支出をせずに購入を済ませる方法を求めています。これがBNPLの普及に火をつけた一因と言えるでしょう。

1-2. BNPLの歴史

BNPLは新しい概念ではありません。
かつて「分割払い」と呼ばれていたものが現代のBNPLに発展した形です。

最初の分割払いの概念は19世紀後半に登場しましたが、それがデジタル化され、より短期間で手続きが完了するようになったのがBNPLです。

  • 19世紀後半: 分割払いが登場。
    消費者が高価な商品(家具、ピアノ、農機具など)を一括で購入する資金がない場合に、それらを時間をかけて複数の小額の支払いに分割して購入可能に。
  • 1980-1990年代: クレジットカードの普及。
  • 2000年代初頭: オンラインショッピングが普及。
    フィンテック企業がオンラインショップの支払いフローに分割払い貸し付けを統合するシステムを開発。
  • 2010年代: BNPLサービスが登場。最初は小規模ながらも急速に拡大。
  • 2020年代: BNPLが大手企業によって広く採用され、多くの消費者に普及。

日本でも着実な広がりを見せているBNPLサービスは、矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2019年度の国内BNPL市場規模は6,870億円で、2024年度には1兆8,000億円まで市場が拡大すると予測されています。

2. BNPLと他の決済サービス

BNPLと他の決済サービス、クレジットカードや電子マネーとの比較です。

BNPLは、従来の決済方法よりも簡単でコストをかけずに利用できるため、今後も普及していくことが予想されます。

2-1. クレジットカードとの違い

 

BNPLとクレジットカードは、ともに「後払い」の形態をとりますが、いくつかの違いがあります。

  • 審査プロセス
    BNPLには与信審査がほとんどなく、簡単な情報を登録するだけで利用できるものもあります。
    中には与信審査があるBNPLも存在しますが、その場合であってもクレジットカードよりは簡単な審査のみで利用できることが一般的です。
  • 利息・手数料
    BNPLでは原則としてユーザーに利息や手数料等は課されない一方で、加盟店(事業者)から徴求する決済手数料の料率はクレジットカードよりも高いとされています。
  • 返済期間
    BNPLは短い返済期間(通常2週間から数ヶ月)を設定することが一般的です。
  • 信用スコア
    BNPLの利用は、クレジットスコアに直接影響を与えない場合が多いです。
  • その他
    BNPLは登録後すぐに利用できるため、クレジットカードのように申し込み後カード到着まで2週間や1か月も待つ必要がありません。
    また、分割払いがしやすく、分割払いをしたとしても、原則としてユーザー側に手数料の負担は発生しません。

2-2. 電子マネーとの比較

 

電子マネーとは?

電子マネーとは、プリペイド式の電子的な「財布」です。
スマートフォンや特定のカードに電子マネーをチャージし、簡単なタップで商品やサービスに対する支払いを行います。

BNPLと電子マネー、それぞれには独自の特長と利点、欠点があります。
自分の生活スタイルやニーズに応じて、最も適した決済方法を選ぶことが重要です。

BNPLは短期的な購入で金利を気にせずに済む場合や、即時に高額な商品を購入したいと考えている場合に有用です。
一方で、電子マネーは日常的な小売り購入やオフラインでのショッピングに便利です。

BNPLと電子マネーの主な違い

  • 支払いタイミング
    BNPL: 後払い
    電子マネー: 事前にチャージ
  • 金利
    BNPL: 低いかゼロ
    電子マネー: 不適用(プリペイド)
  • 利用場所
    BNPL: オンラインショッピング、一部の対応店舗
    電子マネー: 幅広い店舗での物理的な支払い、またはオンライン
  • 信用スコア
    BNPL: 一部のサービスでは影響あり
    電子マネー: 通常、影響なし


電子マネーのメリットとデメリット

  • メリット
    利便性と速度
    広範な利用場所
    オンラインとオフラインの両方で使用可能
  • デメリット
    事前チャージが必要
    オーバーチャージのリスク

3. BNPLのメリットとデメリット

BNPLは短期的な資金調達において非常に便利なツールでありますが、その利便性が裏目に出ることもあるため、慎重な利用が必要です。

自分の資金繰りとリスクをしっかりと評価した上で、BNPLのメリットとデメリットをバランスよく活用することが、健全な財務状況を維持する鍵となります。

メリット

  • 即時の購入が可能
  • クレジットスコアが低くても利用可能
  • 金利・分割手数料が少ないか、または無料

デメリット

  • 支払いを怠ると高い遅延料金
  • 買い物の誘惑が増加
  • 長期的な負債が積み上がる可能性

3-1. メリット:短期的な資金調達

BNPLには、利用者にとっても事業者にとっても様々なメリットがありまが、まず、利用者にとってのメリットとして、短期的な資金調達が可能です。

商品を購入した後、支払いまでに猶予があるため、資金調達が必要な場合に便利です。

また、BNPLは分割払いでも手数料が発生せず、使いすぎの心配もないため、安心して利用しやすいです。

一方、事業者にとってのメリットとしては、売上が上昇することが挙げられます。

実際に、一般的な買い物より平均購入単価が40%ほど上昇することが報告されています。

3-2. デメリット:隠れたコスト

一見、金利が低い(またはゼロ)であるように見えますが、遅延料、処理手数料、その他の小さな費用が積み重なることで、実質的なコストが高くなる場合があります。

とくに、支払いを怠った場合、高額な遅延料が発生する可能性があります。
これは、消費者が予想以上に負担を感じる一因となります。

4. どのようにBNPLが動作するか

BNPLの仕組みと返済に関する基本的な知識を理解することで、より安全かつ効率的にこの決済方法を利用することができるでしょう。

4-1. 決済手続きの流れ

BNPLの決済手続きの大まかな流れは、消費者が商品を購入する際に、支払い方法としてBNPLを選択します。
その際、消費者は商品の購入代金を支払う必要がありません。
後日、消費者は当該代金の支払いを行います。

BNPLの決済手続きの基本的な流れ(オンラインストアの場合)

  1. 商品選択
    消費者はオンラインストアで商品を選び、カートに追加します。
  2. 決済オプションの選択
    チェックアウト画面に進むと、多くの決済方法が提示されます。ここでBNPLを選択します。
  3. アカウント設定(初回のみ)
    初めてBNPLを使用する場合は、短いアプリケーションプロセスが必要です。
    これには通常、氏名、メールアドレス、住所、クレジットスコアの確認が含まれます。
  4. 承認プロセス
    提出された情報を基に、即座に信用承認が行われます。
  5. 返済計画の確認
    BNPLプロバイダーは分割払いのオプションを提示します。
    これには、返済期間、月々の支払い額、必要な場合は利息が含まれます。
  6. 決済の確定
    全ての条件に同意したら、決済を確定します。
    これで商品の購入は完了です。
  7. 商品の受領
    商品が配送され、受領します。
  8. 返済
    BNPLプロバイダーからの請求に基づき、指定された日に指定された方法で返済を行います。

4-2. 返済方法とスケジュール

BNPLは非常に便利な決済方法ですが、返済方法とスケジュールには注意が必要です。

短期間での返済が可能な場合もありますが、長期間にわたる返済スケジュールを選ぶと利息が発生する可能性もあるため、しっかりと計画を立てて利用することが大事です。

返済方法

BNPLの返済方法はサービスによって異なる場合がありますが、一般的に以下のようなオプションがあります。

  • 一括返済: 指定された日に全額を返済する方法です。
  • 分割返済: 月々、または隔週で一定の額を返済する方法です。
  • 自動引落し: 登録した銀行口座やクレジットカードから自動で返済額が引き落とされる方法です。

返済スケジュール

返済のスケジュールもサービスによっては異なりますが、多くの場合、以下のように設定されています。

  • 短期間: 2週間から1ヶ月以内の返済
  • 中期間: 1ヶ月から6ヶ月
  • 長期間: 6ヶ月以上

返済スケジュールについても、各BNPLサービスによって異なりますが、一般的には、商品購入後1ヶ月から2ヶ月以内に返済することが求められることが多いです。

また、選択する返済スケジュールによっては利息が発生する場合もありますので、契約時によく確認することが重要です。

5. 人気のBNPLサービス

日本国内でもBNPLサービスが増加しており、各サービスには独自の特徴があります。

貴重な購入機会を逃さないためにも、これらのサービスを上手に利用することが重要です。
ただし、利用に際してはしっかりと計画を立て、リスクを最小限に抑えるようにしましょう。

5-1. 国内サービスの紹介

 

日本でもいくつかのBNPLサービスが人気を博しています。
以下はその中で特に注目されているサービスです。

PayPayあと払い

運営会社:PayPay株式会社
利用可能な場所:ペイペイが利用可能な多くの店舗とオンラインショップ

PayPay加盟店や対応しているサイトであれば「PayPayあと払い」で支払いができます。
ただし、分割払いには対応していません。

メルペイスマート払い

運営会社:メルカリ株式会社
利用可能な場所:メルカリアプリ内と提携先

コンビニ、飲食店、ドラッグストアなど、全国135万の加盟店で利用できます。
手数料付きですが、分割払いも可能です。

LINEペイ チャージ&ペイ

運営会社:LINE株式会社
利用可能な場所:LINE Payが利用できる店舗とオンラインショップ

楽天ペイ あとから分割払い

運営会社:楽天株式会社
利用可能な場所:楽天市場と提携先

支払い期限は購入後14日以内で、コンビニや銀行振り込みを利用できます。
分割払いが可能です。

5-2. 国際的な選択肢

この記事では、国際的な視点で人気のBNPLサービスを紹介し、その特徴についても説明します。

Afterpay(アフターペイ)

国: オーストラリア
特徴: アフターペイは、オーストラリアを中心に高い人気を誇るBNPLサービスです。
手数料や金利は発生せず、多くのリテーラーが提携しています。

Klarna(クラーナ)

国: スウェーデン
特徴: クラーナは、特にヨーロッパで広く利用されています。
スムーズなUIと多機能性が特徴で、多数のオンラインストアで対応しています。

Affirm(アフィーム)

国: アメリカ
特徴: アフィームは選択肢が豊富で、購入時にいくつかの返済プランから選べます。
金利が発生する場合もありますが、透明性が高いのが特長です。

PayBright(ペイブライト)

国: カナダ
特徴: カナダを拠点とするこのBNPLサービスは、地元の消費者だけでなく、国際的にも拡大しています。
分割払いの選択肢も多く、手数料は発生しない場合もあります。

PayPal(ペイパル)

国:アメリカ
特徴:200以上の国や地域と100以上の通貨をカバーしていることから、越境ECにも便利な決済手段といえる。

6. BNPLのリスクと対策

6-1. クレジットスコアへの影響

 

BNPLの支払い方法がクレジットスコアに与える影響については十分に理解されていない場合も多くあります。

遅延支払いのリスク

もしBNPLでの支払いを遅らせると、多くのサービスプロバイダーがこれを信用情報機関に報告します。これにより、クレジットスコアに悪影響を及ぼす可能性があります。

利用枠の影響

一部のBNPLプロバイダーは信用枠を設定する場合もあり、その使用率が高いとクレジットスコアにマイナス影響を与えることがあります。

新規アカウント開設に伴うクレジットチェック

一部のBNPLサービスは、申し込み時にクレジットチェックを行い、これが短期的にはクレジットスコアに悪影響を及ぼす可能性があります。

6-2. リスク回避のヒント

BNPLのリスクを最小限に抑える対策
以下のような対策で、BNPLのクレジットスコアへの影響を最小限に抑えることができます。

支払い計画をしっかりと

遅延支払いを避けるためには、支払い計画をしっかりと立て、支払いを遅らせないようにすることが重要です。

利用枠を把握する

信用枠が設定されている場合、その使用率を低く保つことでクレジットスコアへの影響を軽減できます。

サービスプロバイダーを慎重に選ぶ

硬直的なクレジットチェックを行わないBNPLサービスプロバイダーを選ぶことで、クレジットスコアへの影響を最小限に抑えられます。

クレジットスコアを確認する

BNPLを利用する前に、自分のクレジットスコアを確認することが重要です。
クレジットスコアが低い場合は、BNPLの利用を控えるか、返済計画を立ててから利用するよう心掛けましょう。

よくある質問(FAQ)

8-1. BNPLは安全か?

BNPL自体のサービスは大手企業が多く、基本的には安全とされています。
しかし、それでも利用者自身がしっかりとした知識と計画を持って利用しない限り、リスクは存在します。

言い換えれば、BNPLはツールであり、その安全性は利用者の使い方次第で大きく変わります。
よくある質問である「BNPLは安全か?」に対する答えは、結局のところ「それはあなた次第」ということになります。
それ故に、サービスを利用する前にはしっかりとした調査と、自分自身の財務状況を理解した上で利用することが重要です。

BNPLサービスを利用する際には、特に以下の点に注意してください。

信頼性

BNPLを提供する企業は多く、その多くが金融機関としての信頼性やセキュリティを持っています。
ただし、企業によっては信頼性に問題がある場合もありますので、利用する前には必ずその企業の評判やレビューを確認することをお勧めします。

利用者の責任

BNPLサービスの利用規約やプライバシーポリシーを確認し、自分が納得できる内容であるかどうか確認してください。
BNPLのサービスは便利ですが、その分、過度な利用や支払い遅延が生じやすいです。
長期的な負債や信用スコアの低下といった問題が起きる可能性もあります。

セキュリティ

多くのBNPL企業は、個人情報保護やセキュリティ対策に力を入れています。
個人情報や支払い情報を入力する際には、常にセキュリティ対策が講じられているウェブサイト上で行ってください。
しかし、オンラインでの取引が増えることで、サイバーセキュリティのリスクもゼロではありません。

8-2. どのような場合にBNPLが便利か?

賢く活用すれば、現金フローの管理がしやすくなるなど、多くのメリットがあります。

しかし、その利用には注意と自制が求められます。

本記事で取り上げたよくある質問「どのような場合にBNPLが便利か」に対する答えが、より賢い消費活動につながることを願っています。

現金フローの一時的な制約

月末や月初など、一時的に現金が手元にない場合に、BNPLは非常に便利です。
これによって必要な商品やサービスを逃さずに済むことが多いです。

緊急の購入が必要な場合

急な出費で予算が限られているとき、たとえば家電が壊れた場合や急な医療費が発生した場合に、BNPLを使うことで負担を軽減できます。

購入をテストしたい場合

商品を試してから購入を決定したい場面でもBNPLは有用です。
返品や交換が可能な期間内に商品を確認し、満足できればそのまま購入へと進めます。

手数料を払いたくない場合

BNPLは、手数料なしでの分割払いを手軽にできることが特徴です。
つまり、「手数料を払いたくない」「一括払いをするほどの余裕はない」「でも商品は欲しい」というときにBNPLが便利です。

大量の購入が必要な場合

特定のイベントや季節(例:クリスマス、結婚式など)で大量の購入が必要な場合、一括で支払うのが難しいと感じる場合にBNPLが便利です。

クレジット履歴が少ないまたは信用スコアが低い場合

BNPLは通常、クレジットカードよりも審査が緩やかな場合が多いです。
そのため、クレジット履歴が少ないまたは信用スコアが低い人々にとって、購入の選択肢を広げます。

まとめ:BNPL、次世代の支払い方法

BNPLの将来はどうなるのか?

BNPLの将来は明るく、多くの企業が独自のBNPLサービスを開発しています。

特に、ブロックチェーンやAIを活用した新しい形態のBNPLサービスが研究されており、さらに進化する可能性があります。