節分にけんちん汁を食べる由来は?この地域の人しか知らない?

節分 けんちん汁 由来

地域による違いが興味深い、節分にちなんだ食べ物の数々。

東西比較をしてみると、関西代表は恵方巻に他なりませんが、関東ならではの伝統の一品は何でしょうか?

関東の節分と言えば、煮込んだ根菜をすまし汁で食べる「けんちん汁」が一般的です。

けんちん汁は、大根やごぼうなどの根菜とこんにゃくをごま油で炒め、だしと醤油で味付けした汁物。

具材が似ている豚汁(とんじる・ぶたじる)と混同されやすいですが、元々は精進料理であったことから、けんちん汁に豚肉は入っていません。

また、肉や魚を使わない精進の観点から、出汁(だし)も鰹ではなく昆布や椎茸から取り、味噌ではなく醤油ベースの汁物という違いもあります。

まだ寒い立春の前日である節分に、体を芯から温めてくれ、栄養補給もしっかりとできる合理的なメニューです。

けんちん汁というユニークな名前の由来には色々な説があり、鎌倉にある建長寺にゆかりがあり、「けんちょうじ」が変形してけんちん汁になったとも言われます。

文化庁が平成28年に行った全国の郷土食調査でも、神奈川県の行事食として建長寺のけんちん汁が取り上げられました。

建長寺では、けんちん汁は修行中の特別なおもてなし食として1年に10回程度のみ調理され、使用する根菜の一部は境内にある菜園で作られているそうです。

他にも、中国式精進料理の調理法の1つで、刻み野菜を炒めて包んだ「巻繊(けんちん)」に由来するから、との推測もあります。

今ではけんちんと聞くと、鮭のけんちん焼き・卵のけんちん蒸し・けんちんそば、といった和食メニューの方が馴染みがあるかもしれません。

恵方巻とけんちん汁の組み合わせは、ご飯と汁物という和食の基本を満たすバランスの良さがあり、東西の食文化を融合した節分メニューを楽しむのも一案です。

節分はいわしかめざしを食べてますか?知ったら驚くその理由とは!?

鬼や豆、けんちん汁に恵方巻だけでなく、節分の風物詩として柊鰯(ひいらぎいわし)も広く知られています。

玄関先に飾り付けられる柊鰯は、とがった葉っぱが特徴的な柊の小枝に、焼いたイワシの頭を刺したもので、一度目にすると忘れられないユニークな形状です。

平安時代に始まったとされる一風変わった習慣は、邪気払いの魔除けのため。

柊のシャープな葉の先にある棘が鬼の目を刺し、室内への侵入を防ぐ意味が込められています。

また、焼いた鰯というのもポイントで、いわしを焼く時の煙と臭いが鬼を寄せ付けないと信じられていたためでもありました。

突拍子もない節分飾りに見えますが、意外と理にかなった意図が反映されていて驚きます。

柊鰯を「やいかがし(焼嗅)」と呼ぶ地域があったり、北海道では見た事がない等の声もあり、全国的な風習かはハッキリしません。

ちなみに、焼いたイワシは魔除けの装飾に活用されるばかりでなく、れっきとした節分の食事としている地域も、西日本を中心に多くあります。

いわしの小魚を乾燥させたメザシも、さっと火にあぶって食べられる手軽さが受け、節分には欠かせない干物です。

いわしとメザシは全く別の魚と思われがちですが、小さい鰯を塩漬けにして乾燥させ、竹串などを魚の目に通して数匹ずつまとめた状態を「目刺し」=メザシと呼びます。

結局のところ、いわしとメザシは大きさと加工が異なるだけの同じ魚であり、節分にはどちらも良く食されます。

鰯には、カタクチいわしやウルメいわし等の種類があり、しらすや煮干し・干物と古くから日本人の食生活には身近な存在であったのも、厄除けの大役を任された一因かもしれません。

節分の豆は年齢の数だけ食べる?多くて食べられない人におススメ!

節分 豆 年齢

節分の食事として恵方巻が普及すると共に、売れ残り品の廃棄が食品ロスとして問題化しました。

生鮮食品の巻き寿司ほどの深刻度ではありませんが、こちらも食べ残しが気になるのが豆まき後の煎り大豆です。

豆は、米や麦と同様に古来から人間の食生活を支えてきた五穀の1つ。生命力の象徴として見なされ、節分では邪気を持ち込む鬼を滅ぼす「魔滅(まめ)」の効力を期待されてきました。

節分には、年齢の数だけ豆を食べ、新しい1年の厄除けや無病息災を祈願しますが、ここで言う年の数とは数え年がベースです。

数え年は、生まれた日をすでに1歳として数え、お正月が来るとさらに1つ年齢が加算されます。誕生日の回数で年齢を数える満年齢とは異なる算出方式です。

満年齢に1を加えたら数え年と思い込んでしまいがちですが、2021年の誕生日を節分前に迎えている場合のみが、満年齢+1となるのでご注意を。

厳密には、節分の後に誕生日が来るなら数え年は「満年齢+2」となります。

かつては暦の上での立春が新しい年の始まりであったため、節目を祝う節分の豆は「年取り豆」と呼ばれます。

10代・20代なら、年取り豆の数もそれ程多くなく、何とか食べきれる量ですが、パパ・ママ・祖父母世代には、年々酷な挑戦になってしまうかも。

そんな時は無理せず、お茶に数個の煎り大豆と、塩昆布・梅干しを加えた福茶にして味わうのが最適です。

もしくは、フードプロセッサーを使って粉末にし、美味しい手作りきな粉に変身させるのもおススメのアレンジ方法。

他にも、香ばしい煎り大豆を使った炊き込みご飯や、根菜とのほくほく煮込み、トマトやカレー味のシチューに加えるなど、おかずレシピとしても使い回せます。

まとめ

節分にまつわる習わしは、地域により様々な違いがあります。

関東エリアでは、寒さの残る立春を祝う節分には温かいけんちん汁を食べるのが慣例です。

けんちん汁の由来は鎌倉にある建長寺とも、中国の精進料理とも言われます。

西日本を中心とした一部地域では、魔除けに効くとされるいわしやめざしを食べたり、柊鰯(ひいらぎいわし)を玄関先に飾って、鬼退治をする風習が根付いています。

鬼退治には豆まきも欠かせませんが、年齢の数だけ食べる豆は数え年を基本にカウントします。

多すぎて食べきれない場合は、福茶やおかずにアレンジして全ての福を取り込みましょう。