夏や秋に多い「ゲリラ豪雨」は季節の言葉として俳句に使えるのでしょうか。
気になったことはありませんか?
気象予報でも予測しにくい急な大雨のことをゲリラ豪雨といいますが、実は正式な気象用語ではないのです。
そのため、いつに起きるもののことをいうのか、はっきりと決まっていません。
また、季語というものは誰もが季節感を想像できて長く使われている言葉を用いるため「ゲリラ豪雨」は季語ではありません。
豪雨の季節はだいたい7月中旬~8月下旬までが一般的です。
この季節は雨に関する季語がたくさんあります。
例えば急な大雨のことを指す夕立は季語ですし「白雨」は突然の大雨で雨が白くなって見える様を表した季語になります。
どちらも大雨のイメージが想像できますね。
また、他にも夏の雨の季語があり、「喜雨」とは、真夏の頃に長らく降っていなかった雨がやっと降る喜びを表した季語です。
また「慈雨」も日照りが続いた田んぼや畑を潤すように降る雨のことをいい、晩夏の季語です。
急な大雨とは対照的に、雨に喜びを感じる情景を表していますね。
夏の雨だけでも15種類以上もあるのでいろいろ調べてみても楽しいですね。
豪雨を俳句に使った一句。今どきの流行りで「ゲリラ豪雨」ならコレ!
豪雨を俳句に使った句はたくさんあります
・豪雨なり木犀の香のあらばこそ/相生垣瓜人
・蓮の葉に雨と見る間に豪雨かな/服部畊石
・秋茄子の土にまみれて豪雨かな/岸本尚毅
ただ、先に述べたように、ゲリラ豪雨という単語は季語ではありません。
では、ゲリラ豪雨の代わりに使えるオシャレな季語はあるのでしょうか?
まず「夕立」は夏の午後に雷を伴った短時間に降る強い雨のことで、ゲリラ豪雨とほぼ似たようなイメージがあります。
夕立を使った句
・縁台を 濡らして過ぎし 夕立かな/山口青邨
・再びの 夕立にあふ 山路かな/阿部みどり女
ただ、夕立という単語を使うのはありきたりすぎますね。
そこで「神立(かんだち)」という言葉を使うのはいかがでしょう。
神さまは雷を使って私たちに何かを伝えている、と言われることから、神立とは夕立や雷雨を指すのです。
俳句を知らない一般人からすると、雨という単語が入っていないのに大雨をさす季語の存在は、俳句の奥深さを知る発見になりますね。
最後に「ゲリラ豪雨」は季語ではありませんが、俳句はたくさん読まれています。
私のお気に入りの句
・横殴り ゲリラ豪雨に 涼ありて/東山ごろう
・炎天やゲリラ豪雨の影もなし/いくたドロップ
ゲリラ豪雨とスコールの違いは?知っておくべき大きな科学的根拠。
ゲリラ豪雨もスコールもどちらもザッと大雨が降るイメージが強いですよね。
ただ、その2つには決定的な違いがあることをご存知ですか?
ゲリラ豪雨は正式な気象用語ではなく定義もない曖昧な言葉なのです。
その反面、スコールは世界気象機関によって定義されている現象です。
それでは、スコールはどういった現象なのでしょうか。
スコールが多いのは熱帯・亜熱帯地域です。
雨季や乾季などがあるところもあるので、雨が多いイメージです。
さて、スコールとは“毎秒8m以上の風速増加を伴い、最大風速が11m/秒以上で1分以上継続する”とされていて、強い雨が降ることではなく、ある程度以上の強い風が吹くことが条件なのです。
雨の条件はありません。
強い雨のことだと勘違いしやすいところですね。
まとめ
●ゲリラ豪雨という季語はない
●夏の雨を表す季語は、白雨、慈雨、喜雨など15種類以上ある
●豪雨を表す季語は、あえて雨の文字が無い「夕立」「神立」などが俳句の奥深さを感じられてオススメです
●スコールとは、強い雨が降ることではなく、ある程度以上の強い風が吹くことが条件の現象である
ゲリラ豪雨もスコールも夕立も神立も、雨を表す言葉にはたくさん種類があり、昔から人が馴染みのあるものなのだと分かりますね。