月見とは?月見団子や十五夜の由来と楽しみ方を本当にわかっている???

1.月見とは何か?

「月見」または「お月見」は、秋の夜、特に中秋の名月の夜に、月を愛でる日本の伝統的な行事です。

この行事では、月の美しさや収穫を祝って、お団子や季節の食べ物を楽しみます。

1-1. 月見の定義と歴史

月見とは、旧暦8月15日(2023年は9月29日)の夜に満月を観賞する風習のことです。

この日は中秋の名月と呼ばれ、中国では中秋節としてお祭りになっています。

中国では、月に丸い食べ物を供えて五穀豊穣を祈る習慣がありました。

この風習が日本に伝わったのは平安時代のことです。

貴族たちは、月の光を浴びながら詩歌や音楽を楽しむ宴会を催しました。

源氏物語にも「月の宴」という場面が登場します。

月見は貴族だけでなく、庶民にも広まりました。

農民たちは、満月を神聖視して感謝や願い事をするようになりました。

お供え物として、丸い形が特徴のすすきや団子などが用いられるようになりました。

また、旧暦9月13日(2023年は10月27日)の夜にも月見をする習慣があります。

これは十三夜と呼ばれ、十五夜よりも小さくて淡い満月を愛でます。

十三夜は農作物の収穫を祝う意味合いが強く、菊や栗などの秋の味覚を供えます。

1-2. 月見に関する風習や行事

月見には、中国の古代祭祀から始まった由来や、日本の自然や文化に関連する風習や行事があります。

代表的なものをいくつか紹介します。

お供え物

月見では、お団子や栗や枝豆などをお供えします。
お団子は満月に似ていることから縁起が良いとされています。

栗や枝豆は秋の味覚であり、収穫への感謝を表しています。


ススキ

ススキは秋の七草の一つであり、露に濡れて光る姿が美しいとされています。

また、ススキは邪気を払う力があると信じられており、家や庭に飾って厄除けや無病息災を祈ります。

十三夜

十三夜は八月十五夜の次の満月の夜です。

十三夜は農民たちが稲穂に宿る神様である稲荷神に感謝する日とされています。

十三夜には稲荷寿司や栗ご飯などを食べたり、稲穂を飾ったりします。


十日夜

十日夜は旧暦10月10日の夜です。

十日夜は農民たちが稲刈りを終えて収穫を祝う日とされています。
十日夜には餅や酒などを食べたり、火を焚いたりします。

2.月見団子の意味と作り方

月見団子は日本の伝統的なお菓子で、十五夜に月の神様に感謝や祈りを捧げる意味があります。

 

 

2-1. 月見団子の起源と種類

お月見といえば、月に見立てた白いお団子を供えるのが日本の伝統ですよね。

地方によって様々な種類の月見団子があり、それぞれに特徴があります。

月見団子の起源

十五夜は元々中国由来の行事で、日本では秋に収穫期を迎える里芋やお団子、栗などを供えて豊作を祈る行事とされています。

江戸時代になり、同じく秋に収穫する米の豊作を祈るため、特に米で作ったお団子を供えるようになったそうです。

日本では古来より月への信仰があり、月の神様である「月読命(つくよみ)」は農耕の神様でもあったため、十五夜にお供えを通して祈りを捧げていたといわれています。

月見団子の種類

日本各地では様々な種類の月見団子があります。

例えば、

関東では白いお団子だけでなく、赤い小豆餡やきな粉をつけたものもあります。

関西では白玉粉で作った白いお団子に黒蜜やきな粉をかけたものが一般的です。
また、あんこを包んだ里芋形のお団子もあります。

九州では、お団子に餡をつけたり、小豆や栗などを混ぜたりしたものがあります。

沖縄では、サーターアンダギーという揚げ団子を月見団子として食べます。

2-2. 月見団子のレシピとアレンジ

月見団子の基本的な作り方をご紹介します。

材料(12個分)

  • 上新粉 200g
  • 砂糖 40g
  • 水 100ml
  • 塩 少々

作り方

  1. 上新粉と砂糖をボウルに入れて混ぜる。
  2. 水を少しずつ加えながらこねる。耳たぶくらいの柔らかさになるまでこねる。
  3. 生地を12等分に分けて丸める。
  4. 鍋に水を沸かし、生地を入れる。浮き上がってきたらすくい出す。
  5. 水気を切って皿に盛る。

月見団のアレンジアイデア

月見団子は基本的なレシピで十分美味しいですが、少しアレンジすることで新しい味を楽しめます。

黒蜜ときな粉
完成した団子に黒蜜をかけ、きな粉をまぶす。

月見団子にきな粉と黒蜜をかけると、和風の風味が増します。
きな粉は大豆の栄養が豊富で、黒蜜は鉄分やカルシウムなどのミネラルが含まれています。
健康にも良いですね。

抹茶風味
白玉粉に抹茶の粉末を少量加えて抹茶団子に。

アイスクリームとのコラボ
団子と一緒にアイスクリームを盛り付け、デザート感覚で。

チョコレートとクリームチーズで洋風に
月見団子にチョコレートとクリームチーズを入れて、ココアパウダーで作った生地で包むと、洋風のデザートになります。

3.十五夜とは何か?

秋の夜空に浮かぶ美しいお月さまを眺めることを「お月見」といいますが、その中でも特に有名なのが「十五夜」です。

3-1. 十五夜の意味と日付

十五夜とは、一般的に旧暦の8月15日の夜、またはそのときに見える月のことを指します。

旧暦では新月を毎月1日としているので、15日がほぼ満月となります。
この旧暦15日の夜、またはそのときに見える月のことを「十五夜」といいます。

十五夜の意味

主に3つあると考えられます。

  • 収穫に感謝する
  • 災厄を除ける
  • 願い事をする

古代中国では、旧暦8月15日が秋分の日に近く、収穫期にあたることから、農作物や果物などの収穫に感謝する儀式が行われました。

この風習が日本に伝わり、稲や野菜などの収穫物をお供えしてお月さまに感謝するようになりました。

また、十五夜の月は特別な力があると考えられており、災厄を除けるためにもお供え物をする習慣がありました。
特に菊やすすきなどは邪気を払う力があると信じられていました。

さらに、十五夜の月は願い事を叶えてくれるとも言われており、恋愛や健康、学業など様々な願い事をする人もいます。
特にうさぎが住んでいるとされる月は子宝や子孫繁栄の象徴でもあります。

十五夜はいつ?

十五夜は旧暦8月15日ですが、旧暦は毎年変わります。

2023年の十五夜は9月29日(金)です。

2023年~2027年の十五夜は以下の通りです。

  • 2023年 9月29日(金)
  • 2024年 9月17日(木)
  • 2025年 10月6日(月)
  • 2026年 9月25日(金)
  • 2027年 9月15日(水)

ちなみに、十五夜は必ずしも満月ではありません。

旧暦15日は満ち欠けの周期からずれていることが多く、実際に満月が見える日は旧暦16日や17日になることもあります。

十五夜と中秋の名月の違い

十五夜といえば、「中秋の名月」という言葉も思い浮かびますよね。

しかし、「中秋の名月」と「十五夜」は同じものではありません。

「中秋」とは、秋の真中の日を意味し、旧暦8月15日を指します。
この日に見える月が「中秋の名月」と呼ばれます。
つまり、「中秋の名月」は月の名前です。

一方、「十五夜」は行事の名前です。
旧暦8月15日の夜にお供え物をしてお月見をすることを「十五夜」といいます。
つまり、「中秋の名月」は「十五夜」に見える月のことであり、「十五夜」は「中秋の名月」を見る行事のことです。

3-2. 十五夜に行うお供えや祭り

十五夜には、月見団子や菊、すすきなどのお供え物をします。

また、お月さまに住んでいるとされる「月のうさぎ」にも注目します。

十五夜のお供え物とその意味

十五夜には、お月さまに感謝や願い事をするために、様々なお供え物をします。

代表的なものは以下の通りです。

月見団子
お月さまに似せて作った白い団子で、収穫や豊穣を感謝するとともに、円満や幸せを願う意味があります。


菊の花は長寿や不老不死の象徴であり、健康や長寿を願う意味があります。
また、菊は邪気を払う力があるとされています。

すすき
すすきは稲穂に似ており、豊作や豊穣を感謝する意味があります。
また、すすきも邪気を払う力があるとされています。

枝豆
枝豆は収穫期にあたる旬の食べ物であり、収穫や豊穣を感謝する意味があります。


栗は金運や財運を招くとされており、金運や財運を願う意味があります。


柿は縁起が良い色である赤色であり、幸運や吉祥を願う意味があります。

サツマイモ
サツマイモは甘い食べ物であり、甘い人生や幸せな家庭を願う意味があります。

これらのお供え物は、屋外や窓辺などで月に向かって飾ります。
そして、家族や友人と一緒にお月見を楽しみます。

お月見では、「うさぎが餅をついている」という昔話を語ったり、「うさぎさんうさぎさん 餅つき餅つき 何つくてる 何つくてる」という手遊び歌を歌ったりします。

十五夜に行うお祭り

十五夜には各地で様々な祭りが行われます。

猿賀神社 十五夜大祭(青森県)

  • 待つ宵 旧暦8月14日~神徳奉讃祭、宵宮祭
  • 十五夜 旧暦8月15日~例祭、観月祭、奉納神賑行事、十五夜カラオケ大会、十五夜参り
  • 十六夜 旧暦8月16日~神恩感謝祭、奉納神賑行事、お笑い、民謡、歌謡、新舞踊ショー、八幡崎獅子踊保存会 いざよい獅子奉納

水戸の萩まつり 月見の会(茨城県)
江戸時代に仙台藩から譲り受け、偕楽園創設ともに園内に植えられた宮城野萩を中心に、白萩・山萩・丸葉萩など、総株数約750株が咲き競う。

まつり期間中は、「月見の会」(合同茶会)や、食を堪能しながら秋の名月のもと奏でられる美しい音色に耳を傾ける「邦楽と月見の宴」を開催している。

向島百花園 月見の会(東京都)
江戸時代から続く伝統行事『月見の会』は、深まりゆく秋の夜に月を観賞しながら、その風情をお楽しみいただきます。

『月見の会』の開催期間中は開園時間を21時まで延長し、行灯やぼんぼりに照らされた幻想的な夜の庭園をご覧いただけます。

  • お供え式
    団子や野菜のお供えと篠笛の演奏を行います。
    絵行灯(えあんどん)の点灯
    俳句・俳画が描かれた絵行灯35基に、ロウソクの明かりを灯していただきます。
  • 茶会
    向島百花園茶会によるお点前を披露します。
  • 箏(こと)の演奏
    地元の箏奏者団体による演奏を披露します。

小金井 お月見のつどい(東京都)
都立小金井公園で行われるイベント。
熱気球登場体験や天体観測コーナーや謎解きクイズラリー、野点や工作ワークショップ、はしご車体験や丸太切り体験など、なかなか体験できない珍しい企画が盛りだくさん。

特設ステージでは、ダンスや漫才、バンド演奏や和太鼓などが楽しめます。
露店も多数出店。お月見の集いなので、夜までやっています。

堀之内 十五夜まつり(新潟県)
毎年敬老の日の前週の金、土、日曜日に八幡宮境内で行われる八幡宮秋季大祭。

作物の実りに対する感謝祭の色彩が強い祭りと伝えられており、元禄4年(1691年)に行われたのが始まりとされる、300年以上続く歴史あるお祭りです。

踊り屋台や屋台囃子・民踊流し・煙火大会・神輿パレードなど内容盛りだくさん。

中でも見逃せないのは最終日に行われる神輿パレード。
この神輿パレードが終わると魚野川を神輿ごと下る、御輿流しの始まりです。
激しい流れに身をまかせて魚野川を下る担ぎ手らは、勇壮そのものです。

諏訪大社上社 十五夜祭 奉納相撲(長野県)
毎年9月15日、諏訪市神宮寺の諏訪大社上社本宮の斎庭で青年力士11名が化粧まわしを着けて輪になり、古式ゆかしい相撲踊りを奉納する。

独特の節回しの相撲甚句を歌いながら力士の所作を行い、次いで、土俵上で再び同様の所作を行う。
なかでも、相撲の基本である守りと攻めを表現する「胸たたき」の相撲甚句は、全国でも類をみない。

室町時代より伝わる『諏訪大明神画詞』によると、祭事の終わりには流鏑馬十番、相撲廿番が奉納されていたとの記述があり、往時の相撲神事の伝統を伝えている。

信州更級・姨捨観月祭(長野県)
千曲市の姨捨おばすて地区は、棚田の1枚1枚に月が映る「田毎の月」が有名で、俳聖松尾芭蕉をはじめ多くの文人・墨客が訪れた「文学と名月の里」で、日本遺産「月の都千曲」にも指定されています。

信州さらしな・おばすて観月祭は、その歴史・文化的価値を活かしたお祭りで、毎年、中秋の名月の前後に開催されています。

日向十五夜祭(宮崎県)
毎年、中秋の名月の頃に行われる「十五夜さん」。

見立細工や花屋台が奉納され、日向市あげての舞踊隊が繰り出すこの祭りは、富高八幡宮の祭礼がそのルーツとされています。

富高八幡宮の創建は約800年前。壇ノ浦の戦いの後、椎葉に逃げ落ちた平家を追ってきた那須与一、工藤祐経の2人の武将が、鎌倉にある鶴ヶ岡八幡宮から勧請して社を建て、兵の士気を鼓舞したのが始まりといわれています。

その後、地元の民によって五穀豊穣への祈りと収穫への感謝をこめた祭りが続けられ、現代まで引き継がれています。

浦添市勢理客十五夜祭(沖縄県)
十五夜祭は、村の無病息災や豊年を祈願する祭りとして昔から伝えられた勢理客最大の行事です。

獅子舞は勢理客の守り神として昔から祀られ、災厄を払い豊年を招来するという信仰と共に守り伝えられてきました。
当日は国選択無形民俗文化財である獅子舞を披露するとともに、各団体・各班からの余興を準備しております。

400年以上の歴史を持つ獅子舞は、勢理客獅子舞保存会によって継承され、昔と変わらない型を維持しています。

獅子頭を支える前役の人は、足を90度まで高く上げる豪快な歩き方です。
後ろ役はずっと腰を半分に折って足踏みをつづけながら獅子のしっぽを動かし続けます。

首里末吉町十五夜祭(沖縄県)
首里末吉町獅子舞は、戦争で一時途絶えてしまいましたが、1970年に復活、1990年には那覇市の無形民俗文化財に指定されました。

末吉町の獅子は、ご神体として地域の人達によって崇められ、公民館の中で祭られており、沖縄県内数ある獅子舞の中でも珍しい存在です。

この獅子が末吉町から外に出されることはなく、旧暦8月15日の奉納の舞と町内の道ジュネー(練り歩き)と、十五夜祭以外ではこの神獅子を使って演舞をすることはありません。

町外のイベントの際には、この神獅子に似せて作られた親獅子で参加するそうです。
フランスやシンガポールなど、海外でも披露された首里末吉町獅子舞ですが、十五夜祭は神獅子による獅子舞を見ることができる貴重な機会なのです。

獅子舞以外にも、首里地域の中から旗頭が招かれイベントを盛り上げます。

琉舞や唄三線の民謡ステージ、ヒップホップダンスと、多彩な演目で地域密着型の沖縄芸能を、地元の人達と一緒に楽しむことができます。

十五夜に考えるうさぎと月の関係

 

十五夜には、お月さまに住んでいるとされる「月のうさぎ」にも注目します。

日本では、お月さまの模様がうさぎが餅をついているように見えるという言い伝えがあります。

この言い伝えの由来は、古代インドの仏教説話にあると言われています。
それによると、ある時、釈迦(しゃか)が動物たちに施し(せし)を求めました。
その中で、うさぎだけは自分に食べ物を与えられなかったので、自ら火に飛び込んで身体を差し出そうとしました。
しかし、火は燃えず、釈迦はその慈悲深さに感動して、天上界に昇らせて永遠に餅をつかせたという話です。

この話が中国や日本に伝わり、十五夜のお月見の風習に結びつきました。

うさぎは子宝や子孫繁栄の象徴でもあり、十五夜にはうさぎに願い事をする人もいます。

4.月見を楽しむコツと注意点

月見は日本の伝統的な文化の一つですが、その魅力は世界共通です。

コツや最高の場所・時間を調べて、必要な準備をして楽しみましょう!

月見を楽しむコツ

月の満ち欠けをチェック
月見の主役は、やはりその美しい月。
新月や下弦の月より、満月の時が最も美しいとは言えませんね。

正しい装備を持つ
双眼鏡や望遠鏡を持って、月のクレーターや海の詳細を見ることができ、より深く月を感じることができます。

環境を整える
月見の際、素敵な雰囲気を出すために、灯篭やキャンドル、お香などを用意するのもオススメです。

月見の注意点

天気のチェック
雲が多いと月を見ることができません。
事前に天気予報を確認し、晴れた夜を選んでください。

安全な場所を選ぶ
特に屋外での月見の場合、夜間の安全を確保するために周囲の状況をよく確認しましょう。
また、一人での月見は避け、友人や家族と一緒に行くことをおすすめします。

4-1. 月見に適した場所や時間

月見は、月の美しさ、そしてその周囲の自然の魅力を感じる瞬間ですよね。

月見に適した場所や時間

高台の場所
山頂や丘などの高台は、地上からの光の影響が少なく、月や星をクリアに見ることができます。

都市の公園
都市部に住んでいる方は、大きな公園や湖畔などの開けた場所が最適です。

時間帯
月の位置や満欠けよりますが、一般的には夜9時から11時頃が最適です。
月も高く昇っていて、地平線の光や大気の影響が少ない時間に見ることができます。

4-2. 月見に必要な準備や道具

必要な準備

月見をするには、まず満月の日を調べる必要があります。
一般的には、旧暦の8月15日(中秋の名月)が最も美しいとされていますが、新暦では9月か10月になります。

また、天気や雲の状況によっても見え方が変わりますので、事前にチェックしておきましょう。

次に、月見をする場所を決める必要があります。
できるだけ明るい光や雑音の少ない場所がおすすめです。
自宅の庭やベランダ、公園や山などが良いでしょう。
ただし、安全やマナーには十分気をつけてください。

月見に必要な道具

月見を心から楽しむためには、以下のものを用意しましょう。

秋の味覚
月見といえば、お団子や月餅が欠かせません。
甘さを楽しみながら、月を眺めるのは最高の組み合わせです。
栗や柿なども定番です。

また、お酒やお茶などの飲み物も楽しみましょう。

提灯やろうそく
雰囲気を出すために、提灯やろうそくを灯して月見を楽しむのもおすすめです。

寝椅子や座布団
長く、月を眺めるためには、快適さを保つ道具が必要です。

5. 月見の文化をもっと深く知る

月見は日本文化の中でも特に詩的な情趣を持っており、多くの文人や芸術家がその美しさや哀愁を表現してきました。

月見は、美しい月を見るだけでなく、人々の心の中に深い感情や物語性を秘めている文化です。

5-1. 月見に関する名作や詩

 

月見は日本文化の中でも特に詩的な情趣を持っており、多くの文人や芸術家がその美しさや哀愁を表現してきました。

ここでは代表的な作品や詩をいくつか紹介します。

月見に関する名作

月見は、日本の古典文学にも頻繁に取り上げられています。

竹取物語
日本最古の物語とされる『竹取物語』は、竹から生まれたかぐや姫とその求婚者たちの恋愛物語です。

かぐや姫は月の住人であり、十五夜の夜に帰らなければなりません。
その前日に父親である竹取老人と母親である嫗と共に最後の月見をしますが、かぐや姫は涙を流して悲しみます。

源氏物語
須磨での流離生活に憂う源氏の描写として「中秋の名月、京を恋しく思い涙する」とあり、本来であれば宮中で宴を開いて中秋の名月を迎えるところが「月のいとはなやかにさしいでたる」のを見て、「今宵は十五夜なりけり」と気づくところにも源氏の流離中の身の上が表現されている。

枕草子
「八月十余日の月明き夜」として、中宮・藤原定子が、女房たちとともに月を愛でるシーンがあります。
当時、すでに父である関白・道隆は亡くなり、時流は道長の世へと移りつつありましたが、月見はそんな中での楽しいひと時だったのでしょう。

月見に関する詩

日本の歌や詩にも、月見をテーマにしたものは数多く存在します。以下にその一部を紹介します。

万葉集
「秋の夜の、月かも君は、雲隠り、しましく見ねば、ここだ恋しき」
秋の夜の、月のようかも、あなたは。雲に隠れるように、しばらくお目にかからないと、こんなにも恋しくなります。

松尾芭蕉
「名月や池をめぐりて夜もすがら」
名月を眺めながら池の周りを歩いていたら、いつの間にか夜が明けてしまった

5-2. 月見を楽しむためのおすすめスポット

 

月見を最高に楽しむためのおすすめスポットもご紹介します!

観瀾亭(宮城県)
松島海岸にある観瀾亭は別名「月見御殿」と呼ばれ、伊達家の藩主たちが代々ここから月を眺めたといわれています。
十五夜の頃には「お月見の会」を開催予定(入場料500円)。

浜離宮恩賜庭園(東京都)
江戸時代、十五夜とともに親しまれていた栗名月(十三夜)のお月見。
2022年、10年ぶりに栗名月の期間に開園時間を延長し、夜のお月見散歩をテーマにした観月イベントを開催します。期間中は、将軍家の別邸としてかつて園内で繰り広げられていた“御庭あそび”をモチーフに、「船上雅楽」や「利き酒会」、「お点前付き呈茶」を実施。
秋の宵、ライトアップされた将軍家ゆかりの庭園で特別なお月見の一夜をお楽しみください。

深大寺(東京都)
旧暦の9月13日の夜は、十五夜とともに観月にふさわしい名月で、「栗名月」「豆名月」とも呼ばれています。
深大寺では「十三夜の会」と称し、山門において天台聲明(しょうみょう)や能舞邦楽の演奏による観月会を行っています。

伊豆北川温泉ムーンロード(静岡県)
伊豆の北川温泉では、満月が水平線からのぼる「月の出」と、月光が海面に描き出す「月の道」を鑑賞できます。
特に北川の海岸線にある遊歩道「伊豆北川温泉ムーンロード」は、随一のお月見スポット。

月見の森(岐阜県)
岐阜県の環境保全林として整備された自然公園「月見の森」は、その名の通り月の景勝地として親しまれています。
258段ある「月への階段」を登れば、濃尾平野を一望できる展望スペース「月見広場」があります。

清水寺(京都府)
清水寺の塔頭である成就院はお月見の名所として知られている。
成就院の庭園は別名「月の庭」と呼ばれており、その見事な美しさから国の名勝にも指定されています。
清水寺の夜の特別拝観、そして成就院が一般公開が行われるのは、残念ながら中秋の名月の期間ではありませんが、月あかりに照らされた紅葉を愛でに、晩秋の京都旅行・・・なんてロマンチックではありませんか。

住吉神社 観月祭(大阪府)
大阪の住吉大社で開催される「観月祭」は、古くから続く厳かなお祭りです。
境内にある反橋の上で和歌や俳句が詠まれ、雅楽が奉納されます。
月がのぼるなかで執り行われる祭典は、神秘的な雰囲気。

三景園(広島県)
中秋の名月の季節には、時間を延長し夜間に「観月会」を開催。
園内はライトアップされ、数寄屋風水上建築の潮見亭では、食事をしながらお月見が可能です。
音楽の生演奏も実施されるため、楽曲の調べと園内の美しい風景をともに十五夜を過すことができます。